相続税対策のための生前贈与
相続税対策の一つとして、生前贈与を考えておられる方がいらっしゃるとおもいます。
前にも書きましたが、贈与税の基礎控除は年間110万円です。その範囲内であれば贈与税を払うことなく、相続財産を分散させることができます。
例えば、現金110万円を子供2人に10年間贈与することによって、2,200万円の相続財産を減らすことができます。
不動産3,000万円と現金5,000万円を持っている方の場合
総遺産 8,000万円
基礎控除 3,000万円 + 600万円 × 2 = 課税価格3,800万円
3,800万円 × 法定相続分1/2 × 税率15% − 控除50万円 = 各人の税額235万円
235万円 + 235万円 = 相続税総額 470万円
生前贈与により現金を2,200万円子供に与えた場合
総遺産 5,800万円
基礎控除 3,000万円 + 600万円 × 2 = 課税価格1,600万円
1,600万円 × 法定相続分1/2 × 税率10% = 各人の税額 80万円
80万円 + 80万円 = 相続税総額 160万円
相続税の計算は、基礎控除後の総遺産を法定相続分で取得したこととして各人の税額を下の速算表により計算し、それらを合計したものが相続税の総額になることになります。
また、遺産額が大きくなるにつれて税率が上がっていく仕組みとなっているため、生前贈与を活用して相続財産を分散していくことが将来の相続税の節税につながるため、多くの方が行っている理由になります。
【相続税の速算表】
法定相続分に応ずる 取得金額 |
1,000万円以下 | 3,000万円以下 | 5,000万円以下 | 1億円以下 | 2億円以下 | 3億円以下 |
税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% |
控除額 | − | 50万円 | 200万円 | 700万円 | 1,700万円 | 2,700万円 |
生前から計画的に贈与などを行っていくことは、将来の相続税を減額することに繋がっていくことは間違いないのですが、そうは言いながらも、無尽蔵に現金や預金を親族などにバラまけば良いとはならず、相続税における贈与の3年内加算に該当することや、調査により税務署から名義預金として相続財産に加算されることの無いように考えながら行うことが大切です。
さらに重要なことは、相続税を節税することばかりが先行してしまい、中には生活に必要な老後の生活資金が不足になり、生活設計を狂わすことになる方もいらっしゃいますので、将来のために蓄えてきた資産と、これから得られる収入、余裕を持たせた生活設計など無理のない節税となるよう税の専門家に相談する事が良いと思われます。